植物の種分化・系統研究
植物の種分化・系統研究
「種とは他の集団から生殖的に隔離された互いに交配可能な個体からなる集団」とする定義がある.これは生物学的種概念と呼ばれるもので生殖的隔離の有無、すなわち遺伝的な交流があるかないかで「種」を規定しようとする考えである.このような種の定義では生殖的隔離機構の形成が種分化の機構とことになる.しかし,植物の「種」は生物学的種概念では十分に理解することができない例が数多く見られる.
本研究では実際の植物個体群内や個体群間,あるいは近縁種間においてどのような変化が起きているかをさまざまなレベルで解析を行い,植物における種分化機構と「種」の存在様式を解明しようとするものである.実際の個々のテーマは野外観察主体の研究や室内での実験主体の研究など,各自の希望により対象植物群と解析方法を選択して決める.例として下記のようなテーマが考えられる.
(1)大洋島(小笠原諸島)での適応放散的種分化
(2)種内倍数体を伴う種分化
(3)無配生殖種の種分化
(4)生殖的隔離の分子機構
(5)種内遺伝的多様性の保全生物学的研究