生物多様性情報学

生物多様性情報学

地球上の生物は現在約200万種が科学的に知られている(記載されている).しかし,実際はもっと多くの種が存在していると考えられ,数千万種とも数億種とも推定がされている.このような膨大な情報はもはや計算機抜きには扱うことが困難であり,生物学と情報科学という21世紀の科学を代表すると考えられている分野間の融合が必要とされている.また、地球環境問題解決の観点からも生物多様性情報学が必要とされており、この分野の発展は急務でありチャレンジングな課題である。

本テーマでは以下のような研究が考えられる.

1.生物多様性予測モデリング

近年、さまざまな生物に関する標本や観測データによる生物分布情報が蓄積され、世界規模生物多様性情報機構*(GBIF: http;//www.gbif.org)では1億件を超える情報を提供し始めた。このような電子化された大量データを解析することにより,これまで見えてこなかった側面が明らかになってくる.本研究では,生物の分布情報を基にして,リモートセンシングにより得られた情報や気象データなどの環境情報と統合的して生物分布の環境との関連や時系列的変化の解析を行う.また,シミュレーションによる生物分布に関する将来の予測法を確立し,種の絶滅や移入種などの、現在、問題になっている環境問題に対応する方法の開発を行う.

2.環境メタゲノム情報による生物多様性と環境評価

ある環境を生物多様性の観点から評価するには、その場所に生息する生物種を正確に把握する必要がある。しかし、同定が困難な種群や未知種が多い生物群などはその多様性の把握が困難である。このギャップを乗り越えるため、すべての生物に共通するDNA情報をマーカーに用いるDNAバーコーディング手法が実用になりつつある(http://jboli.org)。本研究では、DNAバーコーディングと次世代シークエンサーによるメタゲノム解析により、生物多様性や生物の動態を把握、評価、管理する手法の開発を行い、実際に使用して評価を行う。

3.インターネット上の生物多様性情報の収集および作成したビッグデータ活用

地球上の生物多様性に関する情報を取得して、その保全や持続性確保に利用するためには、膨大な種数や地域を網羅する必要があり、研究者や政府・自治体による収集のみでは十分にカバーしきれない。このような状況で、市民によるシチズンサイエンスとしての生物情報の収集が注目されている。

実際、インターネットには多数の生物情報が存在しているが、これらを網羅的に収集し、研究や行政に利用するには至っていない。その理由としこれらの情報がさまざまなサイトに分散しており、その収集にはたいへんな労力が必要とされるためである。

本研究では、特に植物の写真情報に着目し、インターネット上の植物情報を半自動的に収集する方法を開発し、上記の困難を解決するブレークスルーとした上で、収集した情報を利用した植物の分布や開花時期の解析を行う予定である。